トルコ・英国間の契約における仲裁条項:英国2025年仲裁法施行後、イスタンブールかロンドンか
2025年8月1日以降、英国法は新たな制定法上のルールにより仲裁合意の準拠法を決定しています。トルコ・英国間の契約では、仲裁地、仲裁機関、仲裁条項の準拠法、そしてトルコにある資産に対する執行の道筋を、契約起案の段階で一体として決める必要があります。

トルコ・英国間の商取引契約の多くは、価格、引渡し、保証、責任について条項ごとに交渉されます。
一方、紛争解決条項は最後に合意されることが多く、過去の取引から流用されることもあります。
しかし、紛争がどこで審理され、どの国の裁判所が手続を監督するかを決めるのは、まさにこの条項です。条項自体の有効性をどの法で判断するかも、この条項によって定まります。そして、仲裁判断を相手方の資産所在地で実際の回収に結び付けられるかどうかも、その多くがこの条項にかかっています。
2025年8月1日、英国2025年仲裁法(Arbitration Act 2025)がイングランド及びウェールズ並びに北アイルランドで施行されました。国際契約にとって最も重要な変更は、仲裁合意の準拠法に関する新たな制定法上のルールです。
このルールが置き換えた従来の考え方は、英国最高裁判所が2020年にEnka v Chubb事件で示したものでした。同事件では、トルコの建設会社Enkaが、ロンドンを仲裁地とする仲裁条項を守るために訴訟差止命令(anti-suit injunction)を得ています。
トルコと英国の間で契約を締結する当事者にとって、この変更には実務上の影響があります。トルコ法に準拠しロンドンを仲裁地とする契約や、英国法に準拠しイスタンブールを仲裁地とする契約を考えてみてください。現在仲裁条項に適用される法は、当事者が署名時に想定していた法とは限りません。
本稿では、トルコ法と英国法が仲裁条項をどのように扱うか、そして両制度が現在どこで一致し、どこでなお食い違い得るかを説明します。そのうえで、仲裁地としてイスタンブールとロンドンのどちらを選ぶか、また条項が両制度の下で機能するかどうかを左右する起案上のポイントを取り上げます。本稿は、手続の最終段階を扱う当事務所のトルコにおける外国判決及び仲裁判断の承認・執行に関する解説を補完するものです。
1. 仲裁条項は独自の準拠法を持つ別個の合意である
両法制度とも、仲裁条項を、それが置かれた契約から独立した合意として扱います。
英国法では、1996年仲裁法第7条が、当事者が別段の合意をしない限り、主契約が無効、不存在又は効力を失ったことのみを理由として、仲裁合意が無効、不存在又は効力を失ったものとはみなされないと定めています。
トルコ法では、国際仲裁法(法律第4686号、MTUK)第4条及び民事訴訟法(法律第6100号、HMK)第412条が同じ原則を定めています。当事者は、主契約が無効であると主張して仲裁を拒むことはできません。
仲裁条項は別個の合意であるため、主契約とは異なる法に準拠することがあります。
その準拠法は、本案に入る前に仲裁の帰趨を決めることの多い次のような問いに答えます。
- 条項が有効に成立したか
- 条項がどの紛争を対象とするか
- 条項に署名していない関連会社や譲受人を拘束するか
- 仲裁前の手続が仲裁を申し立てる権利の条件であったか
トルコ・英国間の契約では、通常、少なくとも三つの法が候補となります。主契約のために選択された法、トルコ法、そして英国法です。そのいずれが適用されるかが決定的となることがあります。
2. 2025年仲裁法はデフォルトルールを仲裁地法へと移した
2025年仲裁法は2025年2月24日に国王裁可を受けました。その実体規定は、Arbitration Act 2025 (Commencement) Regulations 2025に基づき2025年8月1日に施行されました。
同法は1996年仲裁法に新たに第6A条を設けました。第6A条によれば、仲裁合意の準拠法は次のとおりです。
- 当事者が仲裁合意に適用されることを明示的に合意した法
- そのような合意がない場合は、仲裁地法
第6A条第2項は、実務上最も重要な限定を加えています。特定の法が主契約を規律するという合意は、同じ法が仲裁合意を規律するという明示的な合意にはなりません。
これにより、Enka v Chubb事件で採られた出発点が逆転しました。Enka事件によれば、主契約のための準拠法選択は、原則として仲裁条項にも及ぶとされていました。準拠法がまったく選択されていない場合に限り、裁判所は通常、仲裁合意と最も密接に関連する法として仲裁地法を適用していました。
新たなルールは、条約又は英国外の国の法令に含まれる仲裁への常設の申込みに基づく仲裁合意には適用されません。この例外は主として条約に基づく投資仲裁に関わるものです。
この改正には、トルコの当事者にとって特に重要な点が二つあります。
第一に、第6A条は、仲裁地がイングランド及びウェールズ又は北アイルランドの外にある場合にも適用されます。2025年法は、同条を1996年法のうち仲裁地にかかわらず適用される規定に加えました。したがって、イスタンブールを仲裁地とする条項を審理する英国の裁判所も、同じルールから出発します。
第二に、2025年法第17条により、改正は締結時期を問わず仲裁合意に適用されます。ただし、2025年8月1日より前に開始された仲裁手続及びそれに関連する裁判手続には適用されません。そのため、2018年に署名された条項も、仲裁が今開始されるのであれば第6A条に従って解釈されます。
2025年法は、このほかにも後述するいくつかの変更を行いました。仲裁人の制定法上の開示義務、略式手続により仲裁判断を下す権限、緊急仲裁人に対する明示的な支援を導入しました。また、第三者に関する裁判所の権限を明確化し、管轄に関する異議申立ての枠組みを狭めました。
3. トルコ法は異なる経路で同様のデフォルトルールに至る
トルコを仲裁地とする国際仲裁については、MTUK第4条が二段階の基準を定めています。仲裁合意は、当事者がその合意のために選択した法に適合する場合、又はそのような選択がないときはトルコ法に適合する場合に有効です。この構造は第6A条に近いものです。まず条項のためにされた選択を見て、それがなければ仲裁地法によります。
執行に関するルールも同様の考え方に立っています。国際私法及び国際民事訴訟法に関する法律(法律第5718号、MÖHUK)第62条第1項(e)号によれば、トルコの裁判所は、当事者が仲裁合意を服させた法によれば仲裁合意が無効である場合、外国仲裁判断の執行を拒否できます。そのような合意がないときは、判断がされた国の法が基準となります。ニューヨーク条約第5条1(a)も同じ構造です。
英国のデフォルトルールが仲裁地法に移ったことで、両制度は多くの通常の事案で同じ方向を指すようになりました。よく見られる三つの構造がそれを示しています。
- トルコ法準拠の契約、仲裁地はロンドン。 第6A条により、当事者が条項について別の法を明示的に選択していない限り、英国の裁判所は仲裁条項に英国法を適用します。トルコの執行裁判所も、当事者が条項を別の法に服させたと判断しない限り、英国法を適用します。
- 英国法準拠の契約、仲裁地はイスタンブール。 当事者が条項のための法を選択していない限り、MTUKはトルコ法を指定し、第6A条を適用する英国の裁判所も同じ結論に至ります。英国法が契約のあらゆる側面を規律すると考えていた当事者は、仲裁条項の有効性と範囲がトルコ法に準拠していることに気付くかもしれません。
- 条項の準拠法の明示。 条項自体がその準拠法を定めていれば、両制度は、それぞれの仲裁可能性及び公序に関するルールに従うことを条件として、原則としてその選択を尊重します。
4. 何が「選択」に当たるかについて、両制度はなお食い違い得る
この接近には弱点があります。第6A条第2項は、英国の裁判所に対し、仲裁合意の準拠法を決める際に主契約の準拠法条項を考慮しないよう求めています。これに対し、トルコの裁判所が執行段階で適用するニューヨーク条約の基準には、そのような指示はありません。
この基準の下では、当事者が仲裁合意を服させた法について何らかの指定をしたかどうかが問題となります。2025年法の制定前に判断されたKabab-Ji v Kout Food Group事件で、英国最高裁判所は、主契約における一般的な準拠法選択条項は、通常、その目的のための十分な指定に当たると判断しました。
トルコの裁判所が条約を同じように解釈すれば、トルコ法準拠でロンドンを仲裁地とする契約の仲裁条項は、ロンドンでは英国法により、トルコではトルコ法により判断される可能性があります。多くの論点では結論は同じでしょう。しかし、条項が誰を拘束するか、その範囲がどこまで及ぶか、欠陥のある条項を救済できるかといった論点では、結論が異なることがあり得ます。
このリスクを取り除く最も簡単な方法は、条項自体の中で仲裁合意の準拠法を明示することです。そうすれば、両制度は最初から同じ法を参照することになります。
5. 仲裁地は法的な選択であり、審問の場所ではない
仲裁地は仲裁の法的な本拠です。仲裁地によって、手続を規律する国の仲裁法、仲裁廷を監督する裁判所、仲裁判断を取り消すことができる場所、そしてニューヨーク条約上仲裁判断がされた場所が決まります。
仲裁地は審問の開催地と同じではありません。ISTACの規則もLCIAの規則も、仲裁地以外の場所での審問を認めています。ロンドンを仲裁地とする仲裁がイスタンブールで審問を開くことも、その逆も可能です。
トルコ・英国間の契約では、選択は通常イスタンブールかロンドンかに絞られます。どちらもすべての契約に適しているわけではありません。判断の決め手となるのは実務上の要素です。
執行が見込まれる場所。 相手方の資産がトルコにある場合、ロンドンでされた仲裁判断は、ニューヨーク条約及びMÖHUK第60条から第63条に基づき、トルコの裁判所によって承認・執行される必要があります。トルコは1992年から同条約の締約国であり、他の締約国でされた仲裁判断及びトルコ法上商事とされる紛争に条約の適用を限定する留保を付しています。英国も締約国であるため、相互主義の留保は障害になりません。
執行の拒否は限られた事由に基づく場合にのみ認められます。その事由には、仲裁合意の無効、適切な通知の欠如、仲裁合意の範囲を超える判断、トルコ法上の仲裁可能性の欠如、公序違反が含まれます。申立てには、仲裁合意及び仲裁判断の原本又は認証謄本と、認証された翻訳を添付しなければなりません。MÖHUK第60条第2項によれば、当事者は、申立てを審理するトルコの裁判所の所在地を書面で合意することができます。合意がない場合、管轄は、判断を受けた当事者のトルコにおける住所地又は居所地により、それもないときは執行の対象となり得る財産の所在地により定まります。
仲裁判断後の手続。 資産がトルコにある場合、ロンドンを選んでもトルコの裁判所を避けることはできません。変わるのは、そこで行われる手続の種類です。第61条第2項により仲裁判断に準用されるMÖHUK第57条第2項によれば、執行の申立てについての決定に対して不服申立てがされると、その決定の執行は停止されます。
イスタンブールでされた国際仲裁判断の場合、道筋は異なります。MTUK第15条により、敗れた当事者は、仲裁判断の通知から30日以内に、管轄を有する地方控訴裁判所に取消訴訟を提起することができます。この訴訟を提起すると、執行は自動的に停止されます。さらに、取消事由に限って破毀院(Yargıtay)への上告も可能です。取消訴訟を棄却する判決が確定した後、仲裁判断が執行可能であることを証する書面が発行されます。
監督を行う裁判所。 仲裁地がロンドンの場合、監督は英国の高等法院(High Court)が行い、通常は商事裁判所(Commercial Court)が担当します。裁判所への異議申立ては、実体的管轄の欠如(第67条)、重大な手続上の瑕疵(第68条)、及び排除されていない限り法律問題に関する上訴(第69条)に限られます。LCIA規則及び国際商業会議所(ICC)規則には不服申立ての放棄条項があり、これにより法律問題に関する上訴は排除されると一般に理解されています。仲裁地がイスタンブールの場合、MTUK第15条の取消事由は、おおむねUNCITRALモデル法に沿っています。加えて、仲裁期間の満了後に仲裁判断がされたことなど、トルコ法に特有の事由もあります。
言語、仲裁廷及び期間。 トルコを仲裁地とする仲裁は、トルコ語又はトルコが承認する国の公用語で行うことができるため、英語を用いることも可能です。MTUKによれば、仲裁人の数は奇数でなければなりません。
当事者が別段の合意をしない限り、MTUKに服する仲裁廷は、単独仲裁人の選任の日又は複数の仲裁人からなる仲裁廷の第1回会合の議事録作成の日から1年以内に本案について判断しなければなりません。この期間は当事者の合意により、合意がない場合は一方当事者の申立てに基づき裁判所により延長できます。申立てが却下されると、期間満了とともに手続は終了します。期間経過後にされた仲裁判断は取り消され得るため、イスタンブールを仲裁地とする当事者は、機関規則を含む合意がこの期間について定めていることを確認すべきです。
6. 仲裁機関の選択は仲裁地とは別の判断である
仲裁地を定めることと仲裁機関を定めることは、別々の判断です。
イスタンブール仲裁センター(ISTAC)は2014年の法律第6570号により設立され、国内仲裁と国際仲裁の双方を管理しています。ISTAC仲裁規則によれば、当事者が別段の合意をしない限り、仲裁地はイスタンブールです。同規則には、緊急仲裁人に関する規定と、規則で定める金額基準を下回る紛争のための迅速仲裁規則が含まれています。ISTACのモデル条項は仲裁地を任意の追加事項としていますが、トルコ・英国間の契約では明記すべきです。
2020年LCIA仲裁規則によれば、合意がない場合、仲裁廷が別段の決定をしない限り、仲裁地はロンドンとなります。第16.4条は、当事者が書面で別の法に合意しない限り、仲裁合意の準拠法は仲裁地法であると定めています。2026年6月1日以降に開始される仲裁に適用される2026年ICC仲裁規則によれば、当事者が仲裁地を合意していない場合、ICC国際仲裁裁判所がこれを決定します。
こうしたデフォルトルールがあるため、仲裁地を定めずに仲裁機関だけを指定する条項も無意味ではありません。しかし、当事者が考えてもいなかった仲裁地となり、選んでいない監督裁判所と取消制度に服する結果となることがあります。
仲裁機関と相手国の仲裁地を組み合わせることも可能です。ICC又はLCIAの仲裁をイスタンブールを仲裁地として行うことも、ISTACの仲裁をロンドンを仲裁地として行うこともできます。いずれの組合せについても、機関規則と仲裁地の強行法規との関係を確認すべきです。
仲裁機関の名称も正確でなければなりません。ISTAC規則は、「ITM」「ISTAC」又はこれに類する表現への言及をISTAC規則の選択として扱います。それ以外の場合には、名称を誤った機関や存在しない機関の指定は、条項が履行不能であるとの主張を招きます。
秘密保持も、仲裁地と規則が意味を持つ論点です。英国法は、イングランド控訴院がEmmott v Michael Wilson & Partners事件で確認したとおり、仲裁合意に黙示の秘密保持義務を認めています。2025年法はこの義務を成文化しませんでした。MTUKには秘密保持に関する一般規定はありません。ISTAC規則は、当事者が別段の合意をしない限り手続は秘密とすると定め、LCIA規則は秘密保持の約束を含んでいます。一方、2026年ICC規則は、仲裁人に秘密保持義務を課していますが、当事者には一般的な秘密保持義務を課しておらず、この問題を当事者の合意又は仲裁廷の命令に委ねています。秘密保持が商業上重要である場合には、条項で明示的に定めるべきです。
7. 費用と期間は都市よりも報酬体系に左右される
イスタンブールとロンドンのどちらを選ぶかを検討する際、費用と期間は多くの場合、最初に問題となる実務上の要素です。三つの仲裁機関はそれぞれ異なる方法で費用を算定し、いずれも事件の審理期間に関するデータを公表しています。
- ISTAC: 管理費用及び仲裁人報酬は、紛争金額に基づくトルコ・リラ建ての料金表により定められ、仲裁人報酬は当事者と仲裁人の合意ではなく、ISTAC仲裁評議会が決定します。ISTAC規則によれば、仲裁廷は付託事項書の確定から6か月以内に仲裁判断を下さなければならず、この期間は延長することができます。迅速仲裁では、記録が単独仲裁人に引き渡されてから3か月以内に仲裁判断を下さなければなりません。ISTACのデータによれば、2025年には通常手続の事件の82%が6か月から1年の間に、迅速手続の事件の86%が3か月以内に終了しました。
- LCIA: 費用は紛争金額に左右されません。仲裁人は時間単位で報酬を請求し、LCIA Schedule of Arbitration Costs (2023)によれば、その単価は通常1時間当たり250ポンドから650ポンドです。LCIAはこのほか、登録料、時間単位で計算される管理費用及び仲裁廷の報酬の5%を請求します。2017年から2024年5月までに終局仲裁判断により終了した事件に関するLCIAの2024年の分析では、仲裁廷報酬とLCIAの費用の合計の中央値は117,653米ドル、審理期間の中央値は20か月でした。
- ICC: 管理費用及び仲裁人報酬は、2026年ICC仲裁規則により導入された費用表に定める従価方式で算定されます。2025年に終局仲裁判断により終了した事件について、ICCが公表した平均期間は27か月、中央値は23か月でした。2026年6月1日以降に締結された仲裁合意では、紛争金額が400万米ドル以下の事件に迅速手続が自動的に適用され、最初の手続管理会議から6か月以内に終局仲裁判断を下すことが目標とされています。
これらの数字を直接比較することはできません。各機関の期間の算定方法は異なり、ISTACの事件の多くは国内仲裁である一方、LCIAとICCの数字はより大規模な紛争を反映しています。LCIAの紛争金額の中央値は約460万米ドル、ICCの新規事件の紛争金額の中央値は500万米ドルです。また、いずれの数字にも、多くの予算で最大の項目となる当事者自身の弁護士費用は含まれていません。
その弁護士費用を敗れた当事者から回収できるかどうかこそ、仲裁地によって実際に差が生じる点です。1996年仲裁法第61条によれば、仲裁廷が適切でないと判断する場合又は当事者が別段の合意をした場合を除き、費用は敗れた当事者が負担します。第63条は、合理的に支出された費用について合理的な額の回収を認めています。MTUK第16条によっても、別段の合意がない限り費用は敗れた当事者が負担しますが、そこに含まれる弁護士報酬は、仲裁廷がトルコの弁護士最低報酬表に従って定める額であり、通常は実際に支出された弁護士費用を大きく下回ります。仲裁機関の規則がこれを変えることもあり、例えばISTAC規則は当事者の法定代理の費用を仲裁費用に含めています。イスタンブールでの仲裁において費用の全額回収を望む当事者は、その旨を条項で明示的に定めるべきです。
執行にも別途の費用と時間がかかります。仲裁地がどこであれ、トルコにある資産に対する執行にはトルコの裁判費用及び執行機関の手数料が生じます。また、イスタンブールの仲裁判断に対する取消訴訟は、その判断が下されるまで仲裁判断の執行を停止させます。
8. トルコでは、明確性、方式、権限又は対象事項の点で条項がつまずく
トルコの裁判所は、当事者の仲裁の意思が明確かつ確定的であるかどうかを審査します。繰り返し見られるいくつかの起案上の欠陥が、この要件を危うくします。
選択的な紛争解決手段。 紛争は「仲裁又は裁判所により解決することができる」と定める条項は、当事者がそもそも仲裁に合意したのかどうかを未確定のままにします。トルコ破毀院民事大法廷(Yargıtay Hukuk Genel Kurulu)は、仲裁を例外的な紛争解決手段と位置づけ、疑いの余地がないほど明確な当事者の意思を求めています。2025年10月1日の決定(E. 2024/653, K. 2025/584)において、同大法廷は、仲裁を受け入れつつ裁判所にも管轄を与える文言は、仲裁を合意された紛争解決方法として確立するものではないと判断しました。一方当事者に選択権を与えることを意図する場合には、その仕組みを特に慎重に起案し、署名前にトルコ法に照らして検証すべきです。
矛盾する裁判管轄条項。 トルコの契約は、特定の都市の裁判所及び執行機関に管轄を認める定型条項で終わることがよくあります。この条項が説明なく仲裁条項と併存すると、契約には二つの相容れない紛争解決地の選択が含まれることになります。2026年4月15日の決定(E. 2025/6-382, K. 2026/262)において、民事大法廷は、紛争を4名の仲裁人による仲裁廷に付託すると同時に、友好的に解決できない紛争についてはイスタンブールの裁判所及び執行機関の管轄とする建設契約を審理しました。同大法廷は、この条項は明確かつ無条件の仲裁意思を示しておらず、また、偶数の仲裁人は仲裁人の数を奇数とするHMK第415条にも反すると判断しました。裁判管轄条項は削除するか、保全措置と仲裁判断の執行に明示的に限定すべきです。
方式と引用。 MTUKもHMKも書面性を要求しています。この要件は次の三つのいずれかの方法で満たされます。当事者が署名した書面、電子的方法を含む当事者間で交換された通信、又は訴状で援用された書面による仲裁合意について被告が答弁書で争わなかった場合です。仲裁条項を含む他の文書の引用は、その条項を契約の一部とする趣旨でされた場合に有効です。
約款。 仲裁条項が、一方当事者が反復使用のためにあらかじめ作成した条件に含まれている場合、トルコ債務法(法律第6098号、TBK)第20条から第25条が援用され得ます。第21条によれば、相手方の利益に反する約款は、相手方がその存在を明示的に知らされ、内容を知る機会を与えられ、かつこれを承諾した場合に限り契約の内容となります。第20条は、各条件が交渉されたとの記載があっても、それだけでは約款としての性質は変わらないと付け加えています。実際に交渉され、署名された文書の中で明確に見える条項であれば、この主張の余地は小さくなります。
署名権限。 TBK第504条第3項によれば、受任者は特別の授権がなければ事件を仲裁に付すことができません。HMK第74条は、弁護士が仲裁合意を締結するには明示の授権を要するとしています。トルコ企業については、署名証明書(imza sirküleri)と署名に用いられた委任状を確認すべきです。
仲裁可能性。 HMK第408条によれば、不動産上の物権に関する紛争及び当事者が自由に処分できない事項に関する紛争は、仲裁に付すことができません。MTUK第1条も、トルコにある不動産上の物権に関する紛争及び当事者が自由に処分できない紛争を対象外としています。このような事項についての仲裁判断は、MÖHUK第62条第1項(c)号によりトルコでの執行を拒否されるおそれがあります。
渉外的要素。 MTUKは、トルコを仲裁地とし、紛争が渉外的要素を有する仲裁に適用され、第2条はこの要素を広く定義しています。次のいずれかに該当すれば足ります。
- 当事者の住所、常居所又は営業所が異なる国にあること
- 債務の重要な部分が履行されるべき地、又は紛争と最も密接に関連する地が、当事者の所在する国以外の国にあること
- 契約当事者である会社の出資者の一人が外国投資に関する法令に基づき外国資本を導入したこと、又は契約の履行のために国外から資本を調達するための融資契約若しくは担保契約の締結が必要であること
- 契約が一国から他国への資本又は物品の移動を伴うこと
そのため、英国企業グループのトルコ子会社は、トルコの相手方と契約する場合でも、国際仲裁の制度に服することがあります。渉外的要素がない場合には、HMKの国内仲裁に関する規定が適用されます。
9. トルコの裁判所は、適時に援用された場合に限り条項を適用する
有効な仲裁条項があっても、相手方がトルコで訴えを提起することは妨げられません。被告が条項を援用する必要があります。
MTUK第5条によれば、仲裁合意の抗弁は、HMKの本案前の抗弁に関する規定に従います。HMK第116条は仲裁合意の抗弁を本案前の抗弁の一つとしており、同法第117条は、これらの抗弁をすべて答弁書で主張するよう求めています。答弁書で主張しなければ、審理されません。
答弁書は、原則として訴状の送達から2週間以内に提出しなければなりません。裁判所は1回に限り延長を認めることができますが、その期間内に申し立てた場合に限られます。外国の被告にとって、この日程では、トルコの弁護士に依頼し、契約書類を集め、抗弁を準備する時間はわずかしかありません。
抗弁が適時に提出された場合、裁判所は、仲裁合意が無効、失効又は履行不能でない限りこれを認めます。そのうえで、訴えを手続上の理由により却下します。
MTUK第1条は、仲裁地がトルコ国外にある場合にも第5条及び第6条を適用するとしています。したがって、ロンドンを仲裁地とする契約に基づきトルコで訴えられた英国の当事者は、答弁書で抗弁を主張しなければなりません。この点を見落とすと、仲裁条項があるにもかかわらず、紛争がトルコの裁判所に残ることがあります。
10. 保全措置は資産の所在地で計画しておく必要がある
仲裁条項があっても、特に資産が移転されるおそれがある場合には、緊急の司法上の措置の必要性はなくなりません。
MTUK第6条によれば、仲裁の前又は仲裁中に裁判所に仮処分又は仮差押えを申し立てても、仲裁合意違反にはなりません。第1条により、このルールは仲裁地がトルコ国外にある場合にも適用されます。そのため、ロンドンを仲裁地とする仲裁の当事者は、管轄を有するトルコの裁判所に対し、トルコにある資産についての措置を申し立てることができます。
トルコを仲裁地とする国際仲裁では、裁判所からこのような措置を得た当事者は30日以内に仲裁を開始しなければならず、そうしなければ措置は自動的に失効します。仲裁地が国外にある場合は、命令が出された時点で直ちに、トルコの一般的な手続法及び執行法上の期間を確認すべきです。
トルコを仲裁地とする仲裁廷も保全措置を命じることができます。ただし、MTUK第6条により、執行機関その他の公的機関による執行を要する措置や、第三者を拘束する措置を命じることはできません。
イングランドでは、1996年法第44条により、裁判所は緊急の場合、仲裁を支援するために証拠又は資産を保全する命令を出すことができます。2025年法は、これらの権限が当事者その他いかなる者に対しても行使できることを確認しました。
2025年法は、さらに第41A条を新設しました。機関規則に基づき選任された緊急仲裁人が命令を出し、当事者が十分な理由なくこれに従わない場合、緊急仲裁人は強制的命令(peremptory order)を出すことができます。裁判所は、第42条に基づきその命令を執行させることができます。
ロンドンの緊急仲裁人が出した命令が、トルコで執行可能な外国仲裁判断として扱われる可能性は低いでしょう。MÖHUKの執行規定は、確定して執行可能となった仲裁判断又は当事者を拘束する仲裁判断を対象としているからです。トルコにある資産については、通常、トルコの裁判所に直接申し立てることが実務的な方法です。当事務所の国境を越えた詐欺、資産追跡及び凍結の戦略に関する解説では、これらの手段を法域間でどのように調整するかを取り上げています。
11. 両制度とも、仲裁人に利益相反の開示を求めている
2025年法により設けられた1996年仲裁法第23A条は、英国最高裁判所がHalliburton v Chubb事件で認めた開示義務を成文化したものです。仲裁人及び選任の可能性について打診を受けた者は、その公正性について正当な疑いを合理的に生じさせ得る事情を開示しなければならず、これには合理的に知っているべきであった事情も含まれます。
MTUK第7条は、トルコを仲裁地とする国際仲裁について同様の義務を定めており、忌避の申立ては、原則として忌避事由を知った日から30日以内にしなければなりません。トルコ・英国間の紛争では、繰り返しの選任、両法域の法律事務所とのつながり、資金提供者との関係に特に注意を払う必要があります。資金提供の仕組みについては、当事務所の国際仲裁における第三者資金提供に関するガイドで取り上げています。
12. 略式判断と狭められた異議申立てがロンドンでの戦略を変える
当事者が別段の合意をしない限り、イングランドを仲裁地とする仲裁廷は、現在、成功する現実的な見込みのない請求、防御又は争点について、略式手続により判断することができます(第39A条)。2026年ICC仲裁規則も、これに類する早期決定の手続を設けています。
管轄に関する異議申立ても狭められました。仲裁廷がすでに判断した管轄の問題について、裁判所は先決的判断を下しません(第32条)。また、改正後の第67条によれば、裁判所が仲裁判断を取り消すことができるのは、仲裁廷への差戻しが適切でない場合に限られます。裁判所規則は現在、限られた例外を除き、仲裁に参加した当事者が裁判所で新たな異議事由や証拠を提出し、又は証拠の再審理を求めることを制限することができます。異議申立ての28日の期間は基準日から起算され、この基準日は仲裁内部の再審査や実質的な訂正を考慮したものとなっています。
トルコの被申立人にとっての実務上の帰結は、ロンドンの仲裁に対する管轄の異議は、仲裁廷の前で余すところなく主張すべきだということです。
13. 仲裁前の手続には明確な終点が必要である
トルコ・英国間の契約の多くは、特に長期供給、エネルギー、建設・インフラプロジェクトにおいて、仲裁の前に交渉又は調停を求めています。
Emirates Trading Agency v Prime Mineral Exports事件で、商事裁判所は、期間を限って友好的な協議により紛争の解決を図る義務を執行可能と判断しました。Republic of Sierra Leone v SL Mining事件では、同じ裁判所が、仲裁前の手続を履践しなかったことは請求の受理可能性に関わる問題であると判断しました。これは仲裁廷が判断すべき事項であり、第67条にいう仲裁廷の管轄には影響しません。
当事者は、トルコの裁判所が同じ条項を同じように分析すると想定すべきではありません。段階的な手続は、一定の期間、明確な起算点、そして和解に至らないまま期間が満了した場合にどうなるかについての明示の定めがあるときに、最もよく機能します。合意に達するまで誠実に交渉する義務といった開かれた文言は、紛争解決条項それ自体をめぐる紛争を生みがちです。
14. 既存の契約は新たなルールに従って読まれる
第6A条は締結時期を問わず仲裁合意に適用されるため、トルコ・英国間の既存の契約、特にロンドンを仲裁地とし主契約がトルコ法に準拠するものは見直すべきです。
見直しにあたっては、次の点を確認すべきです。
- 条項が仲裁地を定めているか、それとも審問の開催地とも読める都市に言及しているだけか
- 仲裁合意自体の準拠法を定めているか
- 契約の他の箇所にある裁判管轄条項と矛盾していないか
- 保証、株式売買契約、サイドレターなどの関連契約が、両立する紛争解決条項を含んでいるか
- トルコの事業体のために署名した者に、仲裁に合意する権限があったか
- 契約にトルコ語版がある場合、条項が一貫して翻訳されているか、またどの言語版が優先するか
答えが不確かな場合には、紛争が生じる前に簡潔な変更合意又はサイドレターに署名するほうが、後に条項をめぐって争うよりも、通常ははるかに少ない費用で済みます。
15. 両制度の下で機能する条項
トルコ・英国間の契約に適した仲裁条項は、通常、次の点を取り扱います。
- 対象範囲: 契約から又は契約に関連して生じる紛争。契約の存否、有効性及び終了に関する問題並びに契約外の請求を含む。
- 仲裁地: 審問の開催地としてだけでなく、仲裁地として明示的に指定された都市及び国。
- 仲裁機関及び規則: 仲裁機関及びその規則の正確な名称。
- 仲裁合意の準拠法: 主契約の準拠法とは別に明示されたもの。
- 仲裁廷: 1名又は3名の仲裁人と、その選任方法。
- 言語: 仲裁の言語、及び二言語の契約ではどちらの版が優先するか。
- 期間: 仲裁地がイスタンブールの場合、最終判断の期間とその延長方法。
- 秘密保持: 仲裁地又は規則が定めていない場合の明示の秘密保持義務。
- 費用: 当事者の合理的な弁護士費用を回収できるかどうか。特にイスタンブールを仲裁地とする場合に重要です。
- 裁判所の支援: トルコ、イングランドその他の裁判所に保全措置を申し立てることが引き続き可能であることの確認。
- 手続上の選択肢: 緊急仲裁人に関する規定及び略式判断を適用するか、排除するか、調整するか。
- 関連契約: 規則が認める範囲で第三者の参加や手続の併合を可能にするため、保証や付随契約における一貫した条項。
- 整合性: 矛盾する裁判管轄条項の削除又は限定。
あくまで例示として、これらの点を取り込んだロンドンを仲裁地とする条項の中核部分は、次のようなものになり得ます。
本契約から又は本契約に関連して生じる一切の紛争(本契約の存否、有効性、解釈、履行又は終了に関する一切の問題及び契約外の紛争を含む。)は、仲裁開始日に有効な[仲裁規則の名称]に従い、仲裁により最終的に解決されるものとする。仲裁地はイングランドのロンドンとする。仲裁廷は3名の仲裁人で構成する。仲裁の言語は英語とする。本仲裁合意は、その存否、有効性及び範囲を含め、英国法に準拠する。本条は、いずれの当事者が管轄を有する裁判所に暫定措置又は保全措置を申し立てることも妨げない。
このような文言は、仲裁機関、取引の内容及び執行が見込まれる場所に合わせて調整する必要があります。仲裁地がイスタンブールの場合には、仲裁判断の期間と弁護士費用の回収について定め、選択した規則が秘密保持を定めていなければ、これも加えるべきです。
同じ論点は、当事務所のAI関連紛争と仲裁条項に関する解説で取り上げたテクノロジー契約でも生じます。また、ロンドン仲裁条項が一般的な保険・再保険プログラムでも生じることは、当事務所のトルコ・ロンドン間の再保険紛争に関する解説で述べたとおりです。
結論
仲裁条項は、トルコ・英国間の契約のうち、商業上の関係が破綻したときにのみ用いられる部分です。その時点で、条項は少なくとも二つの法制度の下で同時に機能しなければなりません。
2025年8月1日以降、英国法は、まず条項のための明示的な準拠法選択を見て、次に仲裁地法によっています。トルコ法は、トルコを仲裁地とする国際仲裁について、すでに同様の構造を採用していました。トルコの執行ルールも、当事者が別の選択をしていない場合には、判断がされた国の法を基準としています。
この接近は有益ですが不完全であり、正確な起案の必要性をなくすものではありません。仲裁地、仲裁機関、条項の準拠法、裁判管轄の扱い、署名者の権限は、最終的な執行地を念頭に置いて、起案の段階で定めておくべきです。
すでに署名された契約については、条項が今も当事者の期待どおりの結果をもたらすかどうかが問題です。今のうちに見直すほうが、後に管轄をめぐって争うよりも少ない費用で済みます。
Terziolu & Partners によるサポート
Terziolu & Partners は、トルコ・英国間の契約における仲裁条項の起案及び見直し、トルコの裁判所における仲裁合意の抗弁、トルコにある資産に対する保全措置、トルコにおける外国仲裁判断の執行を含め、トルコ法上及び国際的な紛争解決案件について助言を行っています。
両国間の取引及び長期的な商業関係については、当事務所の国際取引業務において、紛争解決条項を契約構造全体の一部として扱い、トルコ・英国間の市場参入に関するガイドで取り上げた問題と併せて検討します。
英国法、ロンドンの仲裁地又は英国の裁判所での手続が関わる場合には、国境を越えた法務調整を通じて、関係する法域で適切な資格を有する弁護士と連携しながら、イスタンブールとロンドンの間で戦略を調整することができます。既存の仲裁条項の見直しや新たな契約の紛争解決条項についてご相談の際は、当事務所までお問い合わせください。
主要な法令、判例及び資料
トルコ
国際仲裁法(法律第4686号):第1条(適用範囲。仲裁地が国外にある場合の第5条及び第6条の適用を含む)、第2条(渉外的要素)、第4条(仲裁合意の方式及び準拠法)、第5条(仲裁合意の抗弁)、第6条(保全措置)、第7条(仲裁人の数、開示義務及び忌避)、第10条(仲裁の開始、仲裁期間及び言語)、第15条(取消し及び執行可能性)及び第16条(報酬及び費用)。
民事訴訟法(法律第6100号):第74条(代理人の特別授権)、第116条及び第117条(本案前の抗弁)、第127条及び第317条(答弁書の提出期間)、第408条(仲裁可能性)、第412条(仲裁合意)、第413条(仲裁合意の抗弁)及び第415条(仲裁人の数は奇数)。
トルコ破毀院民事大法廷(Yargıtay Hukuk Genel Kurulu)、2025年10月1日、E. 2024/653, K. 2025/584:仲裁合意には疑いの余地のない当事者の意思が必要であり、裁判所にも管轄を与える文言では足りない。
トルコ破毀院民事大法廷(Yargıtay Hukuk Genel Kurulu)、2026年4月15日、E. 2025/6-382, K. 2026/262:紛争を仲裁人に、そうでなければイスタンブールの裁判所及び執行機関に付託する条項は無効であり、偶数の仲裁人はHMK第415条に反する。
国際私法及び国際民事訴訟法に関する法律(法律第5718号):第57条(執行及び不服申立て)、第60条から第62条(外国仲裁判断の執行に関する管轄裁判所、申立て及び拒否事由)及び第63条(承認)。
トルコ債務法(法律第6098号):第20条から第25条(約款)及び第504条(委任の範囲)。
イスタンブール仲裁センター法(法律第6570号):ISTACの設立及び任務。
ISTAC仲裁・調停規則:デフォルトの仲裁地、秘密保持、緊急仲裁人及び迅速仲裁。
ISTACモデル仲裁条項:モデル条項並びに仲裁地、言語、仲裁人の数及び準拠法に関する任意の追加事項。
英国
Arbitration Act 2025:第1条(新第6A条)、第2条(開示義務)、第3条及び第4条(仲裁人の免責)、第5条から第12条(管轄、費用、略式判断、緊急仲裁人、裁判所の権限及び異議申立て)及び第17条(施行及び経過規定)。
Arbitration Act 2025 (Commencement) Regulations 2025, SI 2025/905:2025年8月1日施行。
Arbitration Act 1996:第7条(仲裁合意の分離可能性)、第44条(仲裁を支援する裁判所の権限)、第61条及び第63条(費用)、第67条から第70条(異議申立て及び期間)及び第100条から第103条(ニューヨーク条約上の仲裁判断)。
Law Commission, Review of the Arbitration Act 1996:2025年法の基礎となった見直し作業。
主要な英国判例
Enka Insaat Ve Sanayi AS v OOO Insurance Company Chubb [2020] UKSC 38:2025年法以前の仲裁合意の準拠法。
Kabab-Ji SAL (Lebanon) v Kout Food Group (Kuwait) [2021] UKSC 48:ニューヨーク条約の基準の下での、仲裁合意の準拠法の指定としての一般的な準拠法選択条項。
Halliburton Co v Chubb Bermuda Insurance Ltd [2020] UKSC 48:仲裁人の公正性及び開示義務。
Emmott v Michael Wilson & Partners Ltd [2008] EWCA Civ 184:英国仲裁における黙示の秘密保持義務。
Emirates Trading Agency LLC v Prime Mineral Exports Private Ltd [2014] EWHC 2104 (Comm):仲裁前の期間を限った交渉義務の執行可能性。
Republic of Sierra Leone v SL Mining Ltd [2021] EWHC 286 (Comm):受理可能性の問題としての仲裁前の条件。
国際的及び機関の資料
ニューヨーク条約の締約国の状況(UNCITRAL):1992年のトルコの加入及びその宣言。
2020年LCIA仲裁規則:第9B条(緊急仲裁人)、第16条(仲裁地及び仲裁合意の準拠法)及び第30条(秘密保持)。
2026年ICC仲裁規則:第12条第8項(仲裁人の秘密保持義務)、第19条(仲裁地)、第30条(早期決定)、迅速手続及び費用表。2026年6月1日施行。
ICC Dispute Resolution 2025 Statistics:2025年に終局仲裁判断により終了したICC仲裁事件の審理期間。
LCIA Schedule of Arbitration Costs (2023):登録料、管理費用及び仲裁人の時間単価。
LCIA Costs and Duration Analysis 2024:2017年から2024年までに終局仲裁判断により終了したLCIA仲裁事件の費用及び期間の中央値。
ISTAC 2025年統計:2025年のISTAC仲裁事件の件数及び審理期間。
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